例えばブルドックソース事件で,何であれほど高い買収防衛策に対する反対の票が集まったのだろうか。それは普通に考えたら非合理な議決権行使なのですけれども,なぜそういうことが起きたのだろうか。そういった問題に対して経済学的なアプローチで何か分析できないかということをお話していました。その際,最近そういった方向で集合的意思決定に関する経済分析が非常に発達してきているので,それをサーベイしてみて,どこまで法学の分野において応用可能なのか,あるいはさほど応用しにくいのかということを考えてみようとして,始めたものなのです。
(略)
そうすると,確かにブルドックソースに個人株主がある程度いたわけですけれども,その個人株主が仮に買収防衛策に反対したとしても,それによって結論が変わる,つまり,買収防衛策が成立する・成立しないという結論が変わる状況ではなかったわけです。この意味で,個人投資家たちは,ピボータルではまったくありませんでした。ピボータルの確率はゼロでした。
とすると,その場合に個人株主としては,どのような議決権行使が合理的な行動となる でしょうか。自分の経済的利益,すなわち,株価の大幅な下落という利益を守るために買 収防衛策に反対するという,そういった議決権行使をしたとしても,でもそれはまったくむだなわけです。それだったらまだ,当時の(今でも?)スティール・パートナーズは,黒船が来たとかいろいろ言われて非常に評判が悪かったわけですけれども,ガイジンなんか出ていけという,そういう非合理な信念に基づいて買収防衛策に賛成という議決権行使をする方が,自らの選好に殉じて認知的不協和が少なくなるわけですから,よっぽど合理的な投票行動だったのではないでしょうか。こう言えば,ブルドックソースの事件でスティール・パートナーズ以外のほぼすべての株主,持ち合い株主だけでなくて個人株主もが買収防衛策に賛成投票したということの,合理的な説明がつくのではないかと考えています。
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森田果「PerfumeとAKB48の違いに関する一考察」新世代法政策学研究14号
「勝ち馬に乗る」ということばがありますが、認知的不協和を解消するために、あえて不合理(にみえる)行動をとっているということですね。すごくすっきりしました。たしかに、「黒船」から日本の老舗を守るんだ的な「物語」が報道されていましたが…改めて説明されて、なるほどという感じ。
「PerfumeとAKB48の違いに関する一考察」には、このほかにも、
・選挙民のもつ非合理な信念に従うふりをしていないと選挙で落ちるから、政治家は不合理な信念にお付き合せねばならない。
・かといって、実際に不合理な政策を実行すると、経済状況が悪化するなど任期中の業績が悪くなって、次の選挙で落選しやすくなる
・そこで、政治家は、選挙民の目に見えないように「正しい」政策をこそこそと隠れてやるという動機が生まれる
なんていう話とか。いままで、なんとなく気付いていた不合理(にみえる事態)を分析することばを与えてくれる感じがして、素敵です!ほかにも…
・会議では、年長者から発言していくのがいいのか、それとも若手から発言していくのがいいのか問題
への処方もあります。会議運営でお悩みのあなたにも、おすすめです!
(via inf)
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